商品先物投資のススメ

大手商社穀物担当が副業としての”商品先物投資”を解説します

ファンドマネーの動向 2021/5/25 

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こんにちわ。白戸則道です。

先週金曜日の午後にCOTレポートが発表されました。内容についてみていこうと思います。

COTレポートとはなんぞや?

Commitment Of Traders(コミットメントオブトレーダーズ)というレポートで、市場参加者のポジションについて公開するものです。政府による取り決めで大口投資家は取引の状況を報告する義務があり、これに基づき、毎週火曜日終了時点のポジションを金曜の午後に、政府が公開しています。

なぜ、アメリカ政府がそのようなことをしているのかという説明を以下記事に記載しておりますので、参考にされてみてください。

 

sakimono-toushi.hatenablog.jp

 

シカゴコーンは5月25日にストップ安

先週のシカゴコーンの値動きは荒い展開でした。特にきっかけとなったのは、5月25日のストップ安をつける大きな下落でした。

一体誰がそのような投げ売りを仕掛けたのか、というのが気になるところです。

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シカゴコーン7月限チャート

ファンド筋のロングが減っている

アクティブファンドのロングポジションは縮小に動いています。5月4日時点347,390枚のロングから5月11日302,635枚、5月18日259,407枚、5月25日232,893枚へと三週間連続で減っています。ファンドの利食いが継続している状態と言えます。

ですが、ロングの縮小幅は先週ほどは大きくありません。市場参加者の中には、ファンドの売りは先週よりも大きい5万枚くらい行っているのでは?という予想の声もあったのですが、蓋を開けてみると、ファンドの売りは27千枚です。

一方で、インデックスファンドおよび実需筋で合計45千枚の買い玉が増えています。

ということは、ファンド売り以外にも個人投機をされている方々(いわゆるスモールマネー)の売りが2万枚分出ているということが言えそうです。

 

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コーンポジション持ち高推移

参考までに、先週時点の状況は以下記事にございます。 

sakimono-toushi.hatenablog.jp 

下値抵抗線を抜けて売りが発動?

先週の週頭時点ではテクニカル分析によると6ドル31セントのところに下値抵抗線があると言われていました。この近辺にストップロス注文を入れている投資家は多かった可能性はあります。ここをブレイクした際に、スモールマネーの売り注文も一緒になって約定したという展開かと推察されます。

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シカゴコーン7月限チャート

 大豆相場も下落基調

大豆相場もコーンと同じく先週は下落基調でした。3営業日連続の下落、その後1日横ばいの日を挟んで、さらに下落、という形でしたので、一時の強い展開から一転して、軟調地合となっています。

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シカゴ大豆7月限チャート

ファンドの売りが継続

価格チャートを見て予想された通り、ファンドの売りは順調に継続しました。アクティブファンドは売りを継続しており、ポジションの持ち高は随分減ってきています。現時点で87千枚まで減っています。

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大豆ポジション持ち高推移

大豆については国内需要が減少している

5月17日に発表された圧搾レポートでも確認されていますが、アメリカ国内では大豆油が高騰しすぎた結果、大豆油需要が減退しています。他の油へのシフトなどしており大豆搾油が停滞しています。また季節的にも今後も減退が継続する可能性があると見られており、大豆の上値は重い展開となる可能性はありそうです。

大豆圧搾レポートについては添付記事にまとめております。

 

sakimono-toushi.hatenablog.jp

 

コーン23万枚ロングはいつ売られるのか

大豆におけるファンドロングは随分減ってきています。また実需の動きとしても、大豆油が高すぎることもあり、大豆搾油需要が減っています。すると、大豆への買いも減るという地合になってきています。今の水準が高すぎるというのは納得感あります。

今後、コーンにおけるファンドのロングがどのように処分されるのかは大変気になるところです。5月初旬から比べるとかなり減ってきていますが、それでも23万枚持っています。彼らがどのようにして売ってくるのか、見ものです。

当然相場を冷やさないように慎重に売ろうとするのでしょうが、6月末には作付面積の報告が出ます。そこで作付面積が大きく増えていることが確認されると、どうしても弱い展開になると思われます。つまり6月末までにはポジションをイーブンにしたいと思っているのかな、と推測しますが、どうなるんでしょうね。

6月末にイーブンまで減らそうとするのであれば、毎週4万枚売る必要があります。そんなに売り浴びせてしまうと、随分相場は冷え込んでしまうのではないかという気はします。

あるいは、4月末のように現物引き受けが多発して、相場が爆騰してくることを期待しているのか。

明日はメモリアルデーでシカゴ相場はお休みですが、火曜日にどのような動きで市場が再開されるのか、気になるところです。