シカゴ大豆相場近況 2021/05/24
こんばんわ。白戸則道です。
シカゴ市場の大豆相場について、現時点での話題を纏めたいと思います。
シカゴ大豆は下げムード
シカゴ相場は先週の火曜日以降、4営業日連続で下落中です。一時のアゲアゲの雰囲気から随分とトーンダウンしています。今後の展開としてこの弱い状態が継続されるのかを検討したいと思います。
アメリカ国内での圧搾需要減退
特に先週の下落については、先週月曜日に発表されたNOPA圧搾レポートの内容が効いていると思います。NOPA(National Oilseed Processors Association,全米油糧種子加工業社組合)が、月の中頃に前月の圧搾量の実績を報告しています。
今月は5月17日(月)にこれが発表されたのですが、内容を見ると、事前予想をはるかに下回る内容でした。今月は5月17日に発表となりましたが、事前予想を上回る大幅な減少幅でした。
4月の圧搾量は1億6,
NOPAメンバーは米国の圧搾砕量の約95%
なぜアメリカ国内需要は減退しているのか?
国内での大豆油価格が高すぎる、ということが主要因かと思います。油を使う業者の皆様が高い大豆油を回避し、他のパーム油などにシフトしているのではないかと思われます。
また、季節的に5月以降は需要はそれほど盛り上がらない時期に入ってきます。今後も継続的に需要が停滞する可能性はありそうです。
大豆作付進捗は過去10年で最速ペース
需要が停滞している一方で、作付進捗は順調です。先週月曜日に発表された数値ですが、5月16日時点で61%が完了しています。例年、同時期は37%程度の進捗であるところですが、約10日程度前倒して進捗している状況です。
過去に作付進捗が早かった年度の同時期の比較を見ると、2000年(もはや20年前の話ですのであまり参考にならないかもしれませんが)の72%、2004年は65%、2012年の76%です。
データを調べてみましたが、これらの作付が早い年が必ずしも豊作になるとは限らないようです。特に2012年は大凶作であったようです。
あくまでも生産量は今後の生育期の天候次第と言わざるを得ないようです。
まとめ
現在相場で見えている材料からすると、下がる方向に動く材料ばかりが目に付く状況です。
- 国内需要が減退
- 季節的にも今後さらに減少する可能性あり
- 次クロップ生産量はまだ見えないが作付は順調
- 南米の収穫は順調で生産量の減少の報告は聞こえてこな
このような状況ですので天候懸念などの新規材料が見えてくるまではしばらく下げムードが続くように思います。ただし、期末在庫は2.6%しかない、という点は注意が必要かと思います。
もし天候懸念が出てくると、再度タイト感が意識されて相場が急に持ち上がるという事態は想定できそうです。
個人的には、値動きが荒い相場は危なっかしいので、次クロップはある程度の豊作になって相場が落ち着いてくれることを希望しています。今後のお天気が気になりますね。
ではまた。