アメリカの大豆圧搾量
こんにちわ。白戸則道です。
本日は大豆圧搾レポートについて解説します。
海外では大豆は食べ物ではない
アジア圏では超重要なタンパク源なのですが、世界的には大豆は食べ物というよりも、食用油の原料と見做されます。近頃は、健康志向の高まりもあり、SOY MILKやTOFUも海外で認知度がありますが、基本は油を搾るための種子として捉えられています。
余談ですが、海外ではJAPANESE IZAKAYAが人気です。一緒に飲んでた外国の方がEDAMAME好きだと言うので、君が今摘んでいる緑の豆は大豆(SOYBEAN)だよと教えてあげたのですが、「え!これそうなの!!」とぶったまげてました。確かに日本人でも節分で豆まきする大豆と枝豆が元々は同じものだとは思わないですよね。
大豆搾油量報告
シカゴ大豆相場を左右する需給情報としてNOPA (National Oilseed Processors Association,全米油量種子加工業社団体)という団体があります。この団体は、アメリカ国内の大豆搾油を行う事業者の95%近くが加入しており、月に一度全米での大豆搾油量を報告してくれます。 毎月15日(休日にあたる場合は翌営業日)に発表されるこのレポートをNOPAレポートと呼びます。毎月前月末の実績を報告してくれます。
予想以上の生産量減少の発表
今月は5月17日に発表となりましたが、事前予想に反して、生産量が減少しました。
4月の圧搾量は1億6,
NOPAメンバーは米国の圧搾砕量の約95%
大豆油価格は高値推移
現状のペースは、大豆搾油のペースが落ちていると言う発表でしたが、大豆油の価格は高値で推移しています。現在の穀物年度の終了のタイミング(8月31日)までに、大豆搾油業者がもっと圧搾しよう!!と思うインセンティブが働く可能性はありそうです。
大豆油の在庫はタイト
NOPAによる計算では、4月末時点の大豆油在庫は、
低炭素環境への移行がバイオ燃料の拡大と大豆油を含むより多くの
大豆粕の輸出ペースは低調
NOPAの報告によると、
足元の大豆の搾油マージンは良好
大豆を原料として、大豆油と大豆粕が生産されますが、大豆油と大豆粕の売値から大豆の価格を差し引くと簡易的に大豆搾油事業の粗利益を計算することができます。
下グラフはシカゴ先物価格を使用して計算した”ボードマージン”と呼ばれるものの推移です。4月中は低調でしたが、4月の終わりからグッと上がり、現在ブッシェルあたり90セントを超える水準です。1か月前よりも約35セント高くなっていることが見て取れます。
アメリカ国内の大豆がタイト
しかしながら、大豆油は高値推移しているが、肝心の原料が品薄で手に入らないと言うのがアメリカ国内の状況のようです。この大豆不足の状況に対して、ブラジルからアメリカ向けに大豆が輸出されるという貿易フローが出てきているようです。2013年以来のことで、通常発生する貿易フローではありません。このような大豆の輸入の動きが加速して、大豆油の圧搾ペースが上がってくるのか、今後も要注意です。
今後の展開
4月中の圧搾量は少なかったのですが、現在の搾油マージンを見ると5月にはグッと増える可能性はありそうです。そうすると、アメリカ国内の大豆の逼迫感が強まり、さらに大豆油価格が上昇、釣られて大豆価格も上昇、と言う動きはありそうです。
さらにその先(あるいは同時進行)では、大豆油も大豆も高すぎ流、大豆油を使う製品の使用を控える、結果相場が落ち着いてくる と言う流れもあるかもしれません。
超短期ではロングを積んでいるファンドの売りで弱くなることがあったとしても、短期的には品薄が意識されて堅調な動きをするが、その先には少し価格レベルは落ち着いてくるという筋書きでしょうか。今後どうなるか引き続き追っていきたいと思います。