商品先物投資のススメ

大手商社穀物担当が副業としての”商品先物投資”を解説します

ファンドマネーの動向 2021/6/29 

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 こんにちわ。白戸則道です。先週に引き続きファンドマネーの動きを確認しておきましょう。

 

COTレポートとはなんぞや?

 COT(コミットメントオブトレーダーズ)とは何かというと、シカゴ市場の参加者を大まかに分類し、それぞれの属性全体でのポジションも持ち高を開示しているというものです。これを見れば投機筋のお金が買い越しなのか売り越しなのかがすぐわかるというものです。結局のところ市場参加者がピーチクパーチク言う話は噂話であり、実態どうなのよ?と言う点を確認するにはこのレポートをみるのが一番確実です。

以下記事も参考までにご参照ください。

sakimono-toushi.hatenablog.jp

 

ファンドのコーン持ち高はさらに減少

6月29日(火)終了時点のアクティブファンドの持ち高は、183,825枚でした。一週前の197,517枚から13,692枚の減少です。一方で実需筋も枚数を減らしています。買いに入ったのはインデックスファンドです。彼らが買い持ちを増やしている背景には、マネーのダブつきと米国経済の回復に伴うインフレを想定しての現物資産への資金投入かと思います。

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シカゴコーン持ち高推移

 

大豆はファンドの持ち高が増加

大豆はコーンとは様相が異なり、アクティブファンドは持ち高を増やしてきています。6月29日(火)終了時点で、31,010枚のロングで、一週間前対比で1,308枚の増加です。5月初旬には126千枚のロングまで積み上がっていたことを考えると、すでにファンドの売りは概ね出尽くしたと言うところかと思います。一旦溜めたロングを売り払い利益を確定した一方で、さらに売り超過にシフトするには、少し生育状況をみてからにしたい、と言う様子見ムードなのかと思います。

 

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シカゴ大豆持ち高推移

シカゴ小麦は小幅な売越し

シカゴ小麦についてはアクティブファンドのポジションは6月29日(火)終了時点で38,448枚の売越しでした。一週間前の35,326枚の売越しから、さらに3,122枚の売りが立ったという形です。シカゴ小麦については現状需給のタイト感はなく、むしろ世界的には小麦は余剰感が強い状況です。この2ヶ月程度は3万枚程度の売越しで推移しており、さらに売越しが増える材料は見当たらないという状況です。コーン・大豆の今後の生育状況が良好となれば相場が下落し、それに釣られて小麦もさらに下落するという展開はありそうですが、しばらくは小麦だけの要因での相場の動きはなさそうです。

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シカゴ小麦持ち高推移

まとめ

すでにファンドは大豆のポジションはほぼクリア済、小麦はあまり材料なし、現在彼らが一定程度のポジションを保有しているのはコーンです。今後、コーンの受粉期を迎えますので北米での天候次第ではさらにポジションを積みます展開になるのか、あるいは良好な天候が期待されればじわじわとファンドも売りを継続してくるのか、どちらの展開もあり得ると思います。

季節的な要因で考えると、じわじわと下がってくる展開の方が可能性はあろうかと思いますが、こればっかりはお天気の話なのでなんとも予想が難しいところです。

ボラティリティが異常に高い相場付きとなっているので、アウトライトでのポジション取得は気をつけて行いたいところです。