商品先物投資のススメ

大手商社穀物担当が副業としての”商品先物投資”を解説します

限月について

こんにちは。白戸則道です。

今日は限月について、詳しく解説していこうと思います。

限月=商品の受け渡し月

限月というのは、商品先物を受け渡すタイミングを指します。通常シカゴコーン5月限というように、1ヶ月単位で設定されています。

商品コードの表し方

株式には番号が振られているように、商品にも限月毎にコードがつけられています。GLOBEX CODEと言います。例えば、シカゴ2021年1月限の大豆であれば以下のように表記されます。

 

ZS  F  1 

 

ZS が”S”oybeanのことを表します。同様にコーンの場合はZC(Cornの頭文字)、小麦の場合はZW(Wheatの頭文字)です。その後に続くFは、Month Codeと呼ばれるもので、”F”の一文字で一月を指します。Januaryに”F”は入っていないのですが、なぜかそうなのです。これはそういうものだと思って覚えてください。1月〜12月迄の全ての月にアルファベット一文字でコードが振られています。

 

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限月コード表 (CMEのWebsiteより引用)


ZCN2  と言えば、コーン2022年7月限のことになります。 

限月は毎月設定されているわけではない

限月(=Contract Month)ですが、毎月設定されるわけではありません。穀物の場合は2ヶ月に一度を基本に設定されています。これは各限月の取引枚数を増やして取引が成立しやすくするためです。コーン、大豆、小麦はそれぞれ以下の限月が市場で取引されます。

コーン

大豆

小麦

March

January

March

May

March

May

July

May

July

September

July

September

December

August

December

 

September

 

 

November

 

商品の受け渡しが実施されるスケジュール

商品取引ですので、特定の期日を迎えたタイミングで買い持ち玉(=ロングポジション)を持っていると、品物を受け取ることになる可能性があります。

5月限の大豆を例にとって説明をします。

First Notice Day(ファースト・ノーティス・デイ)が最初の基準日

限月の前月の末日がファースト・ノーティス・デイとして設定されています。ファースト・ノーティス・デイは、買い持ちポジションを持っている人に対して、現物引受の連絡がいく最初の日です。正に連絡(Notice)が届く最初(First)の日(Day)です。つまり、この日に買いポジションを持っているということは、「現物を引き取ってもいいです」という意思表示をしていることを意味します。もしも、現物引受の連絡が来た場合は、拒否出来ません。

Last Trading Day(ラスト・トレーディング・デイ)が最終取引日

ファースト・ノーティス・デイを過ぎても、しばらくは取引は可能ですので、現物引受通知が来る前に手仕舞いをすることは可能です。ラスト・トレーディング・デイは限月の真ん中の日です。5月限大豆であれば5月15日(土日があたる場合は前後にずれます)

ファースト・ノーティス・デイにしても、ラスト・トレーディング・デイにしても超重要な日ですので、取引所が公開しています。ポジションを保有している限月の、ファースト・ノーティス・デイが近づいて来た場合は要注意です。

ファースト・ノーティス・デイを過ぎると何が起きる?

引取連絡が来る可能性があるため、通常の市場参加者はこの日付までに自分の持っているポジションを無くそうとします。もし買いポジションを持っている場合は、同数量の売りを建てに行こうとしますし、逆の場合は買いを縦に行きます。しかしながら、このタイミングになると取引はあまり活発には行われず次の限月が使用されるようになっていきます。すると、市場での取り引き枚数が少ないため、マーケットの変動が大きくなることがあります。

例えば、市場に出回る現物が限られるような時には、現物引取を選択するプレイヤーが増えることがあり、その場合はシカゴ市場で売りを建てる人が少なくなり、現物相場が一本調子に持ち上がることがあります。  

ファースト・ノーティス・デイで手仕舞いたくない!でも大丈夫!

限月が終わるタイミングで評価損が出ているけど、もう少し待ては利益が出るはず!」と期待しているときに「ファースト・ノーティス・デイが近づいた場合に、手仕舞いせずに乗り切ることも可能です。

もし5月限で買いポジションを持っている場合は、これに対応する売りを立てて、次の限月で7月限の買いポジションで買いを建てればいいです。売り買いのコストが少しかかりますが、ポジションを乗り換えることは可能です(これをロールと呼びます)。

 

まとめ

限月の概念は、聞き慣れない話でややこしい、且つ商品を受け取ったりする可能性があると聞くとめんどくさいと思うかもしれませんが、慣れればそれほど難しい話ではありません。注意するポイントに気を付けて、うっかり大量の大豆をシカゴで受け取るなんていうことにならないように気をつけましょう。