商品先物投資のススメ

大手商社穀物担当が副業としての”商品先物投資”を解説します

商品先物取引のキホン 5つの要素

こんにちわ。白戸則道です。

 

本日は、先物市場での売買がどのような意味を持つのか、解説していきます。商品先物取引は、その名の通り”商品”取引です。以下の要素が絡んできます。

 

 

順番に見ていきましょう。

 

何を取引しているのか

シカゴ商品市場では、様々な商品が上場されています。農産品に限らず原油や金も取扱があります。当方が最も馴染みの深い穀物を例にとって説明しますと、一概に穀物といっても、トウモロコシ、小麦、大豆、燕麦など様々なものがあります。そして、農産物ですから品質には当然ばらつきがあります。本来であれば、実物をみて「こりゃーいい大豆だね、今年はいい出来だから、去年よりも高く買うよ」てな具合のやりとりがあるべき代物です。しかし、それでは先物としての取引が出来ません。あくまでも現物を見ないと取引が出来ないわけです。これでは、先物市場での流動性が担保されません。

よって、先物市場で取引する農産品は、品質規格を定めています。そしてこれは米国農務省による規格を採用しています。なので、シカゴ先物で売買される農産品は一定の水準を満たすものとなっているわけです。

 

いつ受け取るものを取引しているのか

先物取引ですので、今すぐではないけれど将来買い受ける・売り渡すことを約束するという契約をすることになります。そして、穀物一年草ですので一年に一度の収穫です。秋の収穫期に一年分が生産・収穫され、それが一年間と通して取引されていくという商材です。そして、穀物を保管するには倉庫が必要です。収穫期から1年間保管するには、倉庫での保管料を負担する必要があります。そしてこのコストは品物の価格に織り込まれることとになります。

従い、先物市場もこれに合わせて、受け渡し月を定めて価格がそれぞれ提示されています。

コーン5月限  700セント/ブッシェル

コーン7月限  710セント/ブッシェル

という具合です。

この5月限とか7月限とかいう言い回しを限月(げんげつ)と呼びます。限月の期限切れなどについては別の機会に説明します。

 

どこで受け取るものを取り引きしているのか

大量のコーンを輸送するには、それなりの手間がかかります。トラックを手配して、トラックに積み込む機械を用意して運んだ先の保管スペースを手配する必要があります。宅配便で気軽に運べるものではありません。なので、シカゴ先物取引で価格を決めても、どこで受け渡すのかでかかる費用が異なります。

シカゴ先物相場での取り引きはシカゴ近辺の指定倉庫での受け渡しを条件としています。なので、もし限月の期限切れまで買い建てを持っていると、シカゴ近辺で受け取る義務が発生します。現物を受け取りたくない場合は、買い建てポジションは、限月が終わる期限までに売り建てと相殺しておけばよいのです。

 

いくらで買い受けるのか

シカゴコーンの価格を例にしてみましょう。CMEのホームページを見ると価格が出ていますが、 cent per bushel (セント パー ブッシェル)という単位で取引されています。

例えば、コーン5月限 700 cent per bushelなど。centは100セント=1ドルのセントです。bushelは聞きなれい単位ですが、1トンの約40分の一です。つまり約125トンということになります。125トンのコーンがわずか7ドルで買えるということです。

しかしながら実際の取引単位は5,000 bushelが一単位です。つまり、シカゴコーンの最低取引金額は 1 枚=5000 bushel 

5000 bushel X 700 cent/bushel = 350万セント=3.5万ドル

となります。

結構高いですね。しかし、全額用意する必要はありません。証拠金取引と言って、一定の保証金を口座に置いておけば、総額を口座に入れておかなくても売買可能です。取引ブローカーによりますが、15−20%程度というのが相場のようです。つまり5千ドル〜7千ドル程度の軍資金が必要です。実際は値動きに合わせて追加証拠金を要求されることもあるので、もう少しゆとりある軍資金からスタートした方がいいです。この辺りは実体験をもとに、始め方について後日解説します。あるいは、ミニ株のように、ミニコーンというような小口商品を提供している証券会社・ブローカーもいるようですので、そちらで練習してみるというのもアリかもしれません。

 

売るのか、買うのか

相場ものは、売るか買うかしかありません。ある値段で買っておいて、価格が上がったところで売れば利益が出ます。一方で、今後価格が下がると思えば、売りを建てる事が出来ます。まだ手元にないものだけれども、先物取引ですから将来の売値を決められるということです。期限が来るまでに安く買い入れればOKです。

これは、株式取引での貸株に似ていますが、貸株とは違い、あくまでも売り成約を立てるだけですので、証券会社から株を借りて金利を払うというようなことはありません。ただし、売りの場合でも証拠金は口座に入れておく必要はあります。

応用編として、オプションを組み合わせると売る・買う以外に、売る/買う権利を売買するということも可能ですが、これは少々ややこしいのでまた後日説明します。

 

 

以上、先物取引のキホンの解説でした。言われてみれば、当たり前に感じる内容かもしれませんが、いくつか注意する事項が含まれています。特に証拠金の部分は要注意です。

ギリギリの証拠金でポジションを立てて、評価損が出ると追加証拠金を求められ、金策に走らざるを得なくなるというエグい展開になります。実際に始める前には、よく知っている人に、どの程度レバレッジを効かせるのか、相談した方がいいと思います。この辺りは実践編として当方のケースを後日紹介しようと思います。

 

それでは。