ファンドマネーの動向 2021/6/15
こんにちわ。白戸則道です。
先週金曜日は、アメリカ側のお休みの都合でCOTレポートは月曜日の発表となりました。内容を見て行きたいと思います。
- COT(コミットメントオブトレーダーズ)は持ち高公表資料
- コーン相場は下落基調
- ファンドは売りに入っている
- 昨年12月15日以来の水準
- 大豆は猛烈な下げ
- 下落の理由はファンドの売り
- 単一週での減少幅として過去最大
- なぜファンドが商品売りに入った?
- 今後ファンドが再度ロングに入るか?
COT(コミットメントオブトレーダーズ)は持ち高公表資料
COTというのは、アメリカ政府が週に一度、各種のプレイヤーが現在どのような持ち高をしているのかを公表するというものです。ファンド、実需家、小規模投資家など、それぞれがどのようなポジションを持っているのか、を提示してくれます。これを定点観測するとそれぞれのプレイヤーが買いに行っているのか、売りに行っているのかを、確実にみることができます。
毎週金曜日に発表されますが、データは毎週火曜日の市場クローズ時点の持ち高を発表しています。若干のタイムラグがあるのが厄介なところです。しかしながら、データ集計の都合上致し方ない、という話だそうです。
なぜわざわざ公開するのかというと、市場参加者の公平性を担保するためです。特に小規模投資家にとっては資金力に物を言わせるファンド勢が買いなのか、売りなのかを、労せずして知れるというのは有り難いことです。
コーン相場は下落基調
下チャートは直近3ヶ月のシカゴコーン9月限の動きを示したものです。
4月の時点では、作付が開始する前の段階でしたので、手元の在庫がどんどん減っていく状況を見て相場参加者みんなが先行きに不安を抱えていた時期でした。
しかし、5月上旬に入り作付面積が大きく拡大するであろうという予想が確認されて以後、そして実際に作付が例年よりも早い調子で進む中で相場は下げ基調となりました。
その後5月下旬を境に、作付を好感した下落は一旦下火となり、6月上旬までは乾燥傾向を懸念して再度上昇トレンドとなりました。
その勢いも長くは続かず、6月中旬には降雨が観測されたことを受けて、相場は再度下落基調となっています。
ファンドは売りに入っている
実際に発表された数値で確認してみると以下の推移となります。
アクティブファンドのポジションは、6月15日時点では213,016枚のロングとなっており、前週対比で23,540枚の減少となっています。
昨年12月15日以来の水準
そしてこの水準は昨年12月以来の水準に落ち込んでおり、しばらく続いていたファンドの買い上げの展開からニュートラルに戻しに来ている状態と言えます。
過去5年の傾向を見ても6月−7月あたりでファンド勢はポジションを減らす方向に動いていることが伺えます。今年は作付けが早いことを考えると例年よりも早くこの動きが出てもおかしくないのだろうと思います。
大豆は猛烈な下げ
大豆も概ねコーンと同様に4月中は上昇、5月に入り順調な作付進捗を見て下落、その後乾燥懸念による作付したばかりのクロップの状況の悪化を懸念して6月上旬間では上昇、という流れでした。
しかし、その後6月9日から大豆は強烈に下げの展開となっています。7営業日連続の下げというすごい展開でした。正直なところ、そんなに猛烈に下げる材料が見当たらないので不思議なところです。
下落の理由はファンドの売り
下落の理由がよくわからんなと思っていたのですが、そういう時はファンドの動きでしか説明できないですね。
内容をみると、アクティブファンドの持ち高は6月15日時点で61,643枚となっています。前週比33,417枚の減少です。減少枚数だけをみるとそれほど多くないように見えます。しかしながら、6月8日時点で保有していた95,060枚からみると35%分です。
単一週での減少幅として過去最大
ファンドの持ち高の推移を示しています。以下は原資産とオプションの合算チャートですが、黒い線が今年の様子です。
直近のところで線が急角度で下におれています。この下落幅は史上最大の減少幅だそうで、2020年の1月の記録を上回るものです。
なぜファンドが商品売りに入った?
ファンダメンタルズ的に考えると、気候状況が劇的に改善したわけではないので、このような強烈な下落はあまり説明がつかない状況でしたので、外部要因によるファンドのリアクションが相場の下落を引き起こしたのだろうと推察します。
そして、直近金融マーケットで言われているトピックとして、アメリカでの金融緩和の終焉のニュースがきっかけだったのだろうと思います。
2023年には景気対策として打ち出している低金利誘導策が終了するとなると、追い風を受けて勢いよく上昇する凧のように上がっていた相場が崩れる、特にリスク資産である株式や商品相場の下落を想起して、ファンド勢がわさっと売ったということだったのだろうと思います。
今後ファンドが再度ロングに入るか?
可能性はあると思います。結局余ったお金の行き場がない状況ですので、一度売ったはいいけど行き場がないから再度株式や商品市場に戻ってくるということはありそうです。
しかしながら、穀物市況に関していうと、これから天気が良好であるならば、下落していく時期に入りますので、ファンドはむしろショートで入ってくるのではないかと思います。
と考えると、通常年よりも勢いよく下がっていく状況が訪れるかもしれません。
7月8月の旱魃には注意
下のチャート(大豆小麦コーンの合計ポジションの推移チャート)の茶色い線(2012年)を見て見ましょう。5月6月はファンドポジションは減少方向に動いていたのですが、7月に大旱魃が発生し、そこから急にロング方法に動いたということが見て取れます。
そう簡単には稼がせてくれない情勢ですが、どうなるんでしょうか。引き続き情報アップデートしていきます。