商品先物投資のススメ

大手商社穀物担当が副業としての”商品先物投資”を解説します

商品先物市場とブローカーについて

こんにちわ。白戸則道です。

本日は、商品先物市場について説明します。

 

 

商品先物の取引は誰と誰の取引なのか?

商品先物は現物の受け渡しが発生する可能性もある、実資産の取引です。ただし受け渡し期日を将来の日付を設定しているので”先物”取引と呼ばれるわけです。では売買をする相手は誰?となるのですが、これは売買時点では決定されません。少し不思議な話ですが、ではどのようにして売買契約を担保するのか、というと、市場運営会社及びそこに参加を許されている取次店(ブローカー)が保証してくれます。

市場運営会社と取次店(ブローカー)について

複数の市場参加者が、認定されている取次店(ブローカー)を介して、100枚売り、50枚買い、だの様々な注文を取引市場に提示します。最も低い売り希望価格と、最も高い買い取り希望価格が合致した時点で、その売り、買いが成立したことになり、市場に記録されます。そして同じ情報は取次店(ブローカー)でも記録として残り、発注した投資家に連絡されます。後日、その投資家がポジションを整理したいと思った際には、逆の取引を市場運営会社に発注するわけです。

取引事例

例えば、5月1日に大豆7月限を1枚をブッシェル辺り13ドルの価格で買い、6月10日に大豆7月限00枚をブッシェル辺り15ドルで売ったケースを想定します。6月11日時点で見ると、この投資家は7月限月(つまり7月に受け取るという約束)の1枚分の大豆をブッシェルあたり13ドル買い取る約束をしているのですが、同時に100枚分を15ドルで売る約束をしています。つまり、数量としては差し引きゼロです。ただし、買値と売値の差額は出ます。このような場合は、差額の決済のみが発生します。大豆1枚は5,000ブッシェルですので、上記のケースによる利益は以下となります。

 (15ドル  -  13ドル)x 5000 ブッシェル x 1枚 =  10000 ドルの儲け

なので、実際には大豆1枚分(=5000ブッシェル=約125トン)の実物のやりとりは発生せず、1万ドルのお金だけが取次店の自分の口座に振り込まれます。1枚分の取引をする場合には、3500ドル(=約40万円)程度の証拠金を求められますので、元手ゼロでは出来ない話ですが、40万円の元手で100万円の利益を出せるならばテンション上がりますよね。

取引にはまずブローカーで口座開設が必要

上記の例のように、市場参加者が市場で注文を出すには、認定された取次店を介する必要があります。こうすることによって、市場運営会社側及び取次店側で、投資家Aさんは大豆100枚を売った、あるいは買った、という記録が残される形となるのです。なので、取引を開始するにはまず取次店で口座を開設する必要があります。別記事で当方が実際に使用しているブローカーを紹介しようと思います。

世界最大の穀物市場はシカゴ取引所

商品先物は商品先物市場で取引されています。世界中あちこちにあります。古くは大阪の堂島の米取引所で先物取引がなされており、記録として残っている中では、世界で一番古い取引所だそうです。

現在ではアメリカのシカゴ穀物取引所が最も有名かつ資金が最も集まる取引所で、マーケットの参加者も多く、一日あたりの取引数量も多いです。取引数量が多い、というのは極めて重要な要素です。取引数量が少ない(=市場参加者が少ない)場合には、自分が持っているポジションを手仕舞いたい、という時に不都合が出るからです。

取引数量が少ない市場の問題点

仮にあなたが10枚分の買い持ちポジションを持っていると想像してください。そして残念ながら損失が出ているとしましょう。そして、とある日にこれはいよいよまずいので損失を確定させようと今の価格で売り注文を出したとしましょう。

市場参加者が多ければ、市場での掲示価格(ブローカーの取引システムでも市場のウェブサイトでも見れます)で、すぐに買ってくる人がいます。逆に、市場参加者が少ない市場では、掲示価格でも買い手がつくとは限りません。結果、手仕舞いできずにダラダラ損失が増える、ということが発生することがあります。怖いですね。

なので、穀物取引をするには、参加者が多い米国シカゴの市場を使用する方が安心です。日本からでもシカゴ市場での取引の注文は可能です。市場のウェブサイトなどは全て英語で記載されているので、情報の読み方は少し慣れが必要ですが、価格と取引枚数が重要な情報ですので、これは数字ですので慣れれば問題はありません。

日本の穀物市場は取引数量が少ない

私は、日本在住で商社で穀物を輸入している立場ですが、日本の穀物取引所は取扱数量が少な過ぎて使いづらいと思っています。なので、個人が日本の穀物取引所を使用することはおススメしません。資金体力がない個人ですから、ポジションを閉じたいと思った時にすぐに閉じることができるというのは超重要です。

 

まとめ

商品取引を行うにあたって、米国の取引所に注文をできるブローカーで口座を開設する必要があると聞くと少しめんどくさそうに聞こえると思います。実際口座開設はちょっとした手間ですが、それほど難しくはないです。後日方法を解説する記事も書きたいと思います。