商品先物投資のススメ

大手商社穀物担当が副業としての”商品先物投資”を解説します

アメリカ作付進捗 2021/5/23

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こんにちわ。白戸則道です。

アメリカの作付進捗のアップデートです。

 

 

コーン90%完了

赤い実線”Planted”(=作付済)が今年の作付進捗です。すでに90%の作付が完了しています。2016-2020年の平均では同時期80%程度です。日数に換算して10日程度早い進捗です。また緑色の”Emerged"(=発芽済)のラインを見るとすでに60%を超えており、こちらも順調に進んでいることが見て取れます。

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コーン作付進捗

大豆は75%作付完了

大豆もコーン同様に順調です。75%進捗し、過去5年平均54%に対して大幅に前倒しして進捗しています。発芽も順調です。先週は温暖な気候と降雨に恵まれたこともあり、発芽も進捗しました。前週は20%の発芽率でしたが、今週は40%にジャンプアップしています。過去5年平均の25%と比較しても順調さが窺えます。

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大豆作付進捗

小麦の作柄はよろしくはない

冬小麦は、秋に作付をして、越冬して翌年の夏に収穫します。今、植わっている冬小麦は、昨年の10月頃に作付をして冬を超えてきた小麦たちです。

アメリカ農務省は、春に入ってから作柄の状況を報告しています。畑の状況を5段階で評価します。上からExcellent, Good, Fair, Poor, Very Poor。その中でGood + Excelletnとランク付された畑の割合が目安としてニュースになります。GEレシオという呼び方で言われていますが、このGEレシオが作柄の目安となります。

以下チャートは過去2017年から2020年の作柄の推移と2021年の状況を並べたものですが、現時点の冬小麦の状況は、GEレシオは50%を割っており、良い状況とは言いづらい数字です。今後の降雨である程度持ち直してくる可能性はあるとは思いますが、昨年並に落ち着くか、あるいは今後の天候次第では、もう少し悪くなってくる可能性もありそうです。

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冬小麦作柄状況

まとめ

先週は週末を含めて良好な天候であったようで、作付も順調に進み、その後の降雨もあったことで、大豆コーンの発芽が順調に進んでいるようです。大豆・コーン相場もこの良好な状況を好気して下げムードで展開しました。しばらくは天候懸念材料が出ない限りはこの地合いは続きそうです。さらに言えば、ファンド勢は大豆・コーンともにロングを抱えています。これもどこかで売られる玉となりますので、この観点でも下げの可能性がありそうに思います。

一方で小麦については、先週実施されたカンザス州での冬小麦の収穫前の調査では、なかなかいいね、というレポートが出ていましたし、元々小麦は期末在庫がそれほどタイトではないので、天候の悪化で急騰するとは考えづらいです。ファンド勢の様子を見ると現時点ではほぼEVEN程度ではないかと予想されています。現時点で冬小麦の作柄があまり芳しくはない、という状況に、今後天候が悪化に傾くなどということが重なれば、ファンドがロングを建て始めることもあるかもしれませんね。