商品先物投資のススメ

大手商社穀物担当が副業としての”商品先物投資”を解説します

アメリカ大豆コーン作付進捗

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こんにちわ。白戸則道です。

アメリカでは現在大豆、コーン、春小麦の作付が進んでいます。現状の作付進捗をまとめました。

 コーンは80%作付完了、40%発芽完了

今年のコーンの作付は順調に進捗しています。シカゴコーンが高値圏にあることもあり、農家としてはモリモリ植える意欲が湧いているのかもしれません。

5/16時点で全米合計で72.8百万エーカーの作付が完了したとみられています。これはアメリカ農務省の予想値91.1百万エーカー(=3月末発表の作付意向面積)と対比すると、80%の進捗です。過去5年平均では同時期には68%程度であることを考えると、今年はかなり早く進んでいると言えます。

下図はアメリカ農務省の下部機関であるNASS(National Agricultural Statistics Service、全国農業統計サービス)が発表しているコーンの生育進捗ですが、5月16日現在のあたりを見ると、茶色の線で”Planted”(作付済)のラインが引かれています。現時点で約80%の進捗であることが見て取れます。また茶色の線の隣には緑色の線”Emerged"(発芽済)のラインもあります。こちらも40%に到達しています。過去5年の同時期の平均は35%ですので、少し進んでいるということになります。

作付は順調に進み、また発芽も順調と見て取れます。

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アメリカコーン作付進捗

全体面積が増えることを加味しても作付75%完了

先日別の記事でも書きましたが、今年度は4月に相場が大きく持ち上がったこともあり、農家は作付面積を増やす可能性があります。アメリカ農務省の予想値である91.1百万エーカーから、96.8百万エーカー程度まで増える可能性があります。

 以下記事に雨

sakimono-toushi.hatenablog.jp

 

増加幅にして5.7百万エーカーです。ちなみに、1百万エーカーはおよそ4,000平方キロメートルです。これは東京都1.8個分です。5.7百万エーカーだと、22,800平方キロメートルですので、北海道(83,450平方キロメートル)よりは小さいですが、岩手県(15,280平方キロメートル)がすっぽり入ります。あくまでも増加幅の話ですから、とんでもないですね。

さて現時点で72.8百万エーカーに対して96.8百万エーカーだとしても、進捗率にして75%相当です。コーンの作付遅延による不作の心配は現時点では薄れてきていると言えそうです。

 

大豆もコーン同様に作付ペースは早い

大豆もコーンと同じく例年対比好調な作付進捗であったようです。52.2百万エーカーがすでに作付完了しています。これはアメリカ農務省の予想値である87.6百万エーカーの60%に相当します。過去5年平均で見ると同時期は37%程度の進捗であることと比較するとこちらも順調な進捗と言えます。

また発芽率(緑色の”Emerged")のラインを見ると、こちらは20%の進捗です。例年同時期は12%程度の進捗ですのでこちらも順調に進んでいると言えそうです。

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アメリカ大豆作付進捗

まとめ

現時点ではアメリカのコーン・大豆ともに作付は順調に進んでおり、作付遅延による悪影響の心配はあまりなさそうです。ただし、最近の状況を見るとこの作付進捗はすでにある程度の相場には織り込まれているように見えます。

やはり今後6月以後、発芽したクロップの状態を見て、それらが順調に生育するのかが市場参加者の興味の中心になっていくだろうと思われます。