ファンドマネーの動向 2021/6/8
こんにちわ。白戸則道です。
先週金曜日に発表されたCOTレポートの内容について見ていきます。
- COT(コミットメントオブトレーダーズ)は持ち高公表資料
- コーン相場は下落からの戻し基調
- ファンドは買い越しポジションを縮小
- 大豆も上昇基調、だった
- ファンド勢は若干のロング積み増し
- 今後の展開の見通し
- お天気次第の相場
COT(コミットメントオブトレーダーズ)は持ち高公表資料
COTというのは、アメリカ政府が週に一度、各種のプレイヤーが現在どのような持ち高をしているのかを公表するというものです。ファンド、実需家、小規模投資家など、それぞれがどのようなポジションを持っているのか、を提示してくれます。これを定点観測するとそれぞれのプレイヤーが買いに行っているのか、売りに行っているのかを、確実にみることができます。
毎週金曜日に発表されますが、データは毎週火曜日の市場クローズ時点の持ち高を発表しています。若干のタイムラグがあるのが厄介なところです。しかしながら、データ集計の都合上致し方ない、という話だそうです。
なぜわざわざ公開するのかというと、市場参加者の公平性を担保するためです。特に小規模投資家にとっては資金力に物を言わせるファンド勢が買いなのか、売りなのかを、労せずして知れるというのは有り難いことです。
コーン相場は下落からの戻し基調
5月頭に7ドル30セントをつけたところから、5月26日には6ドルをつける水準まで下落し、その後6月8日時点では6ドル80セント近辺まで戻すという値動きでした。
作付が順調に進んだという安堵感と、中国の輸出キャンセルの噂が重なり相場を大きく下げたところから、直近では乾燥懸念が相場を押し上げているという地合いかと思います。
ファンドは買い越しポジションを縮小
直近の6月8日(火)終了時点では前週の250,632枚から236,556枚へと、14千枚ポジションを縮小させています。この一週間の間ではコーン相場はさほど動いていませんので、乾燥懸念により実需家が買いを入れる裏でファンド勢が粛々と売りを建てていたものと思われます。相場を下げずに利益確定の売りを入れるというのはファンド勢はかなりハッピーな売りであったというところでしょう。
大豆も上昇基調、だった
大豆もコーンと同様に5月の上旬から5月下旬にかけて、作付が順調に進むことをみて下げのトレンドとなり、その後は乾燥傾向のニュースに引っ張られる形で上昇という流れです。
6月1日(火)引け後から、6月8日(火)までの間は上げたり下げたりしながらですが、上昇トレンドは継続していました。
ファンド勢は若干のロング積み増し
シカゴコーンはファンドは売りに動きましたが、ファンド勢は若干のロングの積み増しに動いています。6月1日終了時点で91,382枚のロングに対して、6月8日終了時点では95,060枚のロングですので約4,000枚の積み増し。ほとんど変化なしの様子見というところかと思います。
今後の展開の見通し
大豆コーンともに言えることですが、6月8日(火)終了後、水・木・金で下落方向に相場が動いています。
6月10日(木)にアメリカ農務省レポートが発表されており、内容自体は強い地合を確認するものであったと言えるので、これがきっかけというのは少し妙な話なのですが、市場参加者の感覚からすると、予想通りに強い、という内容の確認であったのだろうと思います。
そうすると短期的には需給要因による上げ材料出尽くしという印象があるのかと思います。
大豆については、大豆油が大幅に下落したことで原料である大豆も下落しているという流れです。大豆油は10年に2−3度レベルの高値にいたこともあり、いよいよ需要がなくなる(=代替原料にシフト)すると見込まれているということなのでしょう。
お天気次第の相場
毎年のことにはなりますが、いよいよ材料は出揃った感じがありますので、あとはお天気次第、もっと言えばどのくらい雨が降るか、ということに相場の焦点が集まりそうです。先週までには乾燥傾向が取り沙汰されていましたが、この週末で状況が改善しそうであるという話がちらほら出ていました。今週の作柄報告で状況が悪くないと確認されてくるとダラダラと下げの波がくる可能性はありそうです。
逆に、乾燥がやばいという材料が出ると急激に跳ね上がるという可能性もあります。というか実際にそのような年もありましたので、まだまだ安心はできません。
まさにお天気次第の相場、天候相場の到来ですね。
イチ消費者の目線からすると、マイルドな暑さでほどほどに雨が降って、基礎穀物の価格が落ち着いてくれることを祈ります。