アメリカ作柄進捗 2021/06/14
こんにちわ。白戸則道です。
昨日発表された作柄報告についてまとめます。
今年のコーン大豆の作付けは早い
今年はかなり作付けのペースが早く過去10年でみても最も早いペースで作付けが進捗しました。大豆・コーンともに過去5年平均よりも10日から14日程度早いペースでした以下記事に過去実績対比での作付進捗の推移について記載していますので参考にして見てください。
以下はコーンの作付の進捗率(茶色線)、発芽率(緑色線)のチャートです。作付は5月末にはほぼ完了し、また発芽進捗も6月14日時点で90%を上回っており、作付けおよび発芽がほぼ完了といいうステージに来ています。
生育状況はじわじわ悪化中
作付けが早期に完了したことは、生産量を決定するための作付け面積を確定させることであり、供給量に安心感をもたらす材料です。実際作付けが順調に進んだことで5月中は相場は弱い地合いで推移しておりましたが、5月下旬以後発芽したものを見てみると、作柄がじわじわと悪化しています。
以下チャートは2017年から2021年の5年間のGEレシオの推移です。赤線が2021年、つまり現在生育中のクロップの様子を表しています。GEレシオについては以下記事を参照ください。簡単にいうと5段階評価の上位2クラス(ExcellentとGood)の割合です。
初期つまり5月下旬ではGEレシオは75%を超えていましたが、その後北米での降雨不足が取り沙汰されており、GEレシオも急激に悪化しています。昨日の発表では68%まで落ちています。先週時点で72%、昨年同時期は71%でした。¥
GEレシオ68%というのはマズいのか?
GEレシオが落ちているというのは事実ですが、それほど心配な状況とは言えないと思います。というのも上位2クラスの割合が67%ですが、下位2クラスの割合は5%でこれは二週間変動していません。つまりGEレシオが悪化した分三番目の評価である”Fair”に落ちているクロップの割合が増えているということです。
このFairの評価ですが、まだ挽回することができるクロップとみなされています。今後まとまった降雨があれば戻ってくる可能性は十分ありえると思われます。
大豆もコーン同様に早い進捗
次に大豆を見ていきましょう。
大豆もコーン同様に過去平均と比べて順調に作付が進捗しました。6月14日時点で94%の進捗ですので、ほぼ作付完了といえます。先週は90%、前年同期は88%でした。以下チャートの茶色線が作付進捗の線です。
これらの作付けされたもののうち、6月14日時点で、86%が発芽完了しています。過去5年平均は74%と比べてみても発芽ペースが早いことが確認できます。
大豆の作柄も悪化
コーン同様に大豆も産地での乾燥が懸念されています。
6月14日時点のGEレシオは62%、先週は67%でしたから5ポイント悪化、昨年同時期は72%であったことと比較しても良好とは言い難い状況と言えます。
Poor・Very Poorが増えている
コーンについては、上位2クラスであるExcellentとGoodが減った分は3段階目であるFairに落ちていると申しましたが、大豆については、じわりと下位2クラスであるPoorとVery Poorが増えてきています。
先週時点ではPoor Very Poorはそれぞれ5%と1%で合計6%でしたが、今週は6%と2%で合計8%に増えています。現時点で決定的にマズい状況とは言えませんが、少し気になるところです。GEレシオの割合でみても過去5年の中で2019年の次に悪い水準となっています。
まとめ
コーン大豆ともにスタートはかなり良好であったと言えます。そして作付けが早いペースで進行したこと、作付け期にシカゴ相場が高値圏であったこともあり、作付け面積はかなり増えていると思われますが、その後作柄がじわじわ悪化していることが懸念材料です。産地側では乾燥を懸念するニュースがちらほら出ていますので、引き続き注意が必要です。
現時点では、乾燥懸念がでているエリアはアメリカの北部エリアですので、大豆にはそれほど大きなインパクトはないのではないかという気がしていますが、今回の発表でPoorとVery Poorがじわりと増えていることは少し気持ち悪いなと思います。
作柄というファンダメンタルズの材料は上げ材料と提供しているにも関わらず、ファンド勢の投げ売りでコーン大豆ともに月曜火曜と相場を下げています。なぜ彼らがこのタイミングでウリ浴びせているのか、理由がよくわかりません。思ったより悪くなかったということなのでしょうか。あるいは、乾燥のニュースによるインパクトは限定的と見ているのか。
まだまだ波乱がありそうな気がします。いい波が来るのを待ちたいですね。