コーン由来エタノール生産は引き続き好調
こんばんわ。白戸則道です。
本日はエタノール生産量の状況についてアップデートします。
引き続きエタノール生産は好調
二週間ほど前にエタノール生産量がコロナ前の水準近くまで回復してきている、状況について記載しました。
今週発表された内容を見ても勢いは衰えておらず、順調です。アメリカのEIA(Energy Information Administration)が公表している生産量の週次の推移ですが、水色のラインが今年の推移です。直近公表されたのは5月29日までの週の生産量です。
同週は103万バレル/日のペースでの生産量となったようです。先週よりも2%増加、昨年対比35%増加。これはコロナによる需要の減退が主要因ですが、コロナ前の2019年の同時期と比べても1%減という水準です。水色の線をみるとわかりますが、今シーズン最高の数字となっています。
ガソリン需要も好調を維持
ガソリン需要も好調です。アメリカにおける燃料用エタノールはE10という呼び方をされますが、ガソリンスタンドで売っている燃料ガソリンのうちの約10%相当ですから、エタノール需要の約9倍です。
実際に先週のガソリン需要を見てみると、915万バレル/日ですので、先週対比3.5%減、前年比3%減ではありますが、好調なレベルと言えそうです。アメリカではコロナワクチン接種が進んでおり、みなさんこれからの夏の休暇シーズンにはどんどん遊びに行こうぜ!というトーンのようですから、車を走らせて移動する需要はかなり増えていくだろうと予想されます。特に、今年は海外旅行はしづらいだろうなと思うと、国内移動する需要はかなり増える可能性もありそうですね。
エタノール需要は増える可能性が高い
今後もエタノール需要が現在のペースで維持されるとすると、エタノール需要は通年で5,085百万ブッシェルに達することになります。これは5月のUSDAの発表値よりも110百万ブッシェル多い数字となります。その分、期末在庫数量が減りますから、期末在庫率も減ることになります。USDAの発表値については以下記事ご参照ください。
マーケット情報を提供しているIHS社の最新の需給試算をもとに計算すると、期末在庫率は7.36%まで落ち込むことになります。
期末在庫率7.36%=コーン価格は6ドル近辺?
期末在庫が減るという話ですので、さらにコーン価格が上がるという話になるのですが、過去の期末在庫率とシカゴコーンの値位置のチャートをみると、7.36%程度であれば、シカゴコーンは6ドル近辺が妥当な価格レベルということになりそうです。現在の6ドル50セントは少し高い水準に思えてしまいます。
まとめ
アメリカ国内需要が堅調に推移する可能性はある一方で、すでに現在のコーン価格は上がりすぎなようにも見えます。7月限は下落する方向に、9月限より期先の限月は上昇する方向に圧力がかかってくるのかもしれません。